第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】
「んんっ…」
「は…っ、ヤバイね、名前呼ばれるの」
「…ほんと?」
「うん…。でも、"さん" 付けなんてしなくていいよ。呼び捨てで」
「え?いきなり呼び捨てとか、無理…!」
今まで "赤葦さん" って呼んでたのを急に名前で呼び捨てするなんて、難易度が高すぎる!
「じゃあ間をとって、"くん" とか?」
「でも、私より年上だし…」
「年上ったって、一つしか変わんないだろ?あ、それにジャ○ーズだって年上に "くん" 付けしてるよね」
「赤葦さん、ジャ○ーズじゃないでしょ…」
「フッ…、そりゃそうだ」
「もう、笑わせないで!」
思わずムードも忘れ、二人で肩を震わせる。
「ねぇ、"赤葦さん" に戻ってるよ」
私の唇を指で弄りながら、それを催促する。
「京治、さん…」
「うん…、今は、それでいっか」
「好き…京治さん。大好き…」
「俺も。大好きだよ、汐里」
唇へのキスが徐々に下へ降りてくる。
首を伝って、鎖骨へ。そして胸元へ…。
京治さんの手が膨らみに触れた。
指先にほんのり力が加わり、そこが形を変えるのがわかる。
「ん…」
下からゆっくり揉み上げられ、思わず息が漏れる。
その手が向かう先は、胸元を隠している布地。
「…っ」
反射的に体が固まってしまう。
「…見られるの、嫌?」
私を気にかけるように瞳を覗かれ、京治さんの指先が動きを止めた。
「……ううん。私の全部、見て…?」
心を決めて、全てを委ねる。
小さく頷いてくれた京治さん。
胸元が開かれ、下着姿の私が露に…。
彼の反応を見る勇気がなくて、思わず目を逸らす。
傷跡の上を撫でていく指先の感触。
恐る恐るもう一度視線を戻したところには、いつもと同じ優しい瞳が待っていてくれた。
「汐里が心配してるような台詞、俺、ひとつも思ってないよ」
「……」
「14歳の汐里が頑張った証だよね。愛おしいって思う」
「…ん」
「汐里は、すごく魅力的」
京治さんは魔法使いみたい。
氷みたいにカチカチだった心が、溶けてゆく。