第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】
「汐里、エロい顔してる」
「赤葦さんだって」
じゃれ合うみたいに、今度は色んなところにキスをする。
私からも、赤葦さんからも。
頬、額、鼻の頭。
それから、耳。
「やぁ…っ、ん…」
「すげ、ヤラシイ声…」
「んんっ、だって、そこ…弱い…」
「んー…、それは、ここを攻めてって言ってんの?」
「…そう…かも…。でも、や、変な声出ちゃう…」
「いいよ。もっと聞かせて?汐里のエロい声」
ピチャッと舌の這う音がすぐそこで聞こえる。
ううん…聞こえるなんてものじゃなくて、頭にダイレクトに響いてくる。
ゆっくりと、耳の縁をなぞる赤葦さんの舌と唇。
控えめなその愛撫は段々激しさを増し、耳だけではなく、次第に首筋にまで到達する。
私を煽るのはその感触だけに留まらず、合間に聞こえる赤葦さんの息づかいや、ふと漏れ出る声までも。
「腰、揺れてる…」
「んんっ、だって…、あっ…や、あかぁ、し、さん…」
「汐里、好きだよ」
「!?」
今の、絶対ワザとだ…!
こんなに甘い台詞を、とびきり甘い声で耳から送り込まれてしまったら。
感じるな、という方が無理な話。
「赤葦さん…もう一回聞きたい…」
「好き、だよ」
「やだぁ…」
「やだって。傷つくな」
今度は面白がってる。
ちょっとだけ悔しいけど、赤葦さんに翻弄されるのは、全然嫌じゃない。
今度は私から赤葦さんへ、お返し。
…違う、仕返し。
首の後ろへ腕を回して、ギュッと抱きついてみる。
耳にちゅっ、ちゅっ、とキスをして、それから唇をそこにくっつけたまま…
「だいすき、京治さん」
「……」
顔を覗き込んでみると、一瞬ポカンとした目で見つめられる。
「ドキッとした?」
「…した」
「…っ、きゃあっ…!」
滅多に見られない赤葦さんの顔に満足したのも束の間、ほんの一瞬の隙をついて、ベッドに押し倒される。
上から降り注ぐのは、甘いキスの雨。