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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】



スケートを楽しんだあとは、カフェでお茶して施設内をショッピングして回り、夜まで休日デートを満喫した。
夕食は約束どおり、私の奢りでラーメン。
あんまりムードはないけれど、毎回そればかり意識したデートも疲れてしまう。
お互い無理したくはないからこういうカジュアルなデートもいいと思うし、第一、とっても楽しい。


やっぱり、赤葦さんのことが好き。


今日一日で何度も思った。


でも何度もそう思うほどに、怖くなる…。






暗くなった夜道を歩き、駅の構内へと入る。
部活帰りなのか、制服を着ている高校生すら目にとまる。
つまり、お別れする時間にしてはまだ少し早いってこと。




このあと、どうなるんだろ…。


次第に緊張が増していく。


今日はちゃんと覚悟してきた。
実はバッグの中には、買ったばかりの下着も忍ばせてある。
いつかはそうなる日が来るんだって、心を決めてきた。



…はずなのに。



どうしよう…
決意の塊は、ほんの小さな後ろ向きな思考のせいで、あっという間に綻びを見せ始める。





赤葦さんが足を止めた。


黙ったまま数秒、私を見つめる。
その僅かな沈黙の間に、彼の言いたいことが伝わってきて…



「汐里。今から、」


「赤葦さん。今日は…帰ります」


「……」


「ごめんなさい…ちょっと、疲れちゃった…」


「…ん、そっか。じゃあ、送る」


思わず目を逸らすその間際。
私の瞳の中に映った赤葦さんの顔は、いつもと変わらず、とても優しかった。






デートの終わり、二人で歩く帰り道。
普段どおり、ポツリポツリ話してくれる赤葦さんの声が、どこか遠くに聞こえる。


誤解…させちゃったかな…。
自分でもわかるほどに、相槌さえも上の空だ。


考え事をしながら、あっという間に辿り着いてしまった我が家。
改めて赤葦さんを見上げて、お礼を言う。


「今日…楽しかったです」


「うん。俺も」


小さくそう返してくれたあと、私の頬には彼の手が添えられて…



触れるだけのキスが、落とされた。




「おやすみ」



「…おやすみなさい」




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