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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】




「先輩方、バカップルはほっといて行きましょうか」


光太郎さんとテツさんの間をすり抜けて、私たちに背を向けるツッキー。

「え!?何で!?一緒に滑らねーの!?」

「木兎サン、空気読みましょ?」

「無駄だツッキー。木兎にそれを求めるな。行こうぜ」

「じゃ、ごゆっくりー」

こちらを振り返ったツッキーの口元が、ほんの少し弧を描いた…、ような…。
光太郎さん一人残して、テツさんとこの場を離れていく。

「みんなで遊んだ方が楽しいのによー!」

「赤葦不在なんだから駄々こねんなよ。面倒くせぇ」

「僕、下の階のケーキバイキング行ってきていいですか?」

「は?まさかの別行動?」

「だってもう結構滑ったし。小腹空いたんですケド」

「お前も自由か!じゃあ俺らも行くかー、木兎?」

「おーっし!いっぱい食お!負けねーぞ、ツッキー!」

「いや、競うつもりないんで。美味しいとこで止めとくんで」

「ツッキーたまには乗ってきて!」

賑やかに去っていく姿を見送りつつ、改めて赤葦さんを窺ってみる。
三人の背中に視線を投げているその顔からは、感情が読み取れない。


「赤葦さん…怒った…?」


恐る恐る尋ねてみる。
私の声に反応してこちらを見下ろす彼は、思いのほかケロッとしていた。


「怒ってないよ。あの人たち悪ノリが過ぎる時あるから。釘刺しといただけ」


「あ…、はい…」


そっか。
赤葦さんがあんなこと言うとは思わなかったから、ちょっとビックリしちゃった。


「別に今までと変わらず、仲良くすればいいよ」


「はい…」


「でも。体に触られるのは、ヤダな」


「は…」


赤葦さんの手が、私の両腕をそっと掴む。



"ヤダな" とか、何それ…。


キュンとするよ…。



「滑ろっか」


「はい…」


そのままゆっくり手を引かれ、氷の上を滑る。
今度は大丈夫。ちゃんと転ばずに進める。


こうしていつも私の進むスピードに合わせてくれるのが、赤葦さん。



赤葦さんとなら、きっと、大丈夫。



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