第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】
テツさんと赤葦さんの会話でますます恥ずかしさが増す中、滑らかな滑走でもう一人誰かがやって来る。
久しぶりに会う、その人。
光太郎さんたちよりも高い位置にある、色素の薄い色の髪の毛。
私たちを見下ろしている、レンズ越しの綺麗な瞳は…
「うっわ、チョット。人前で何やってんの…フケツ…」
久々の再会、第一声がそれ!?
「ツッキーまでそういうこと言う!?起き上がれないの!見ればわかるでしょ!?」
「赤葦さん潰されてるじゃん…。ホラ、掴まんなよ」
差し出してくれたツッキーの手に、腕を伸ばす。
髪の毛と同じく淡い色の瞳と、真っ直ぐ視線が通った。
よかった…ちゃんと目を見てくれる…。
助けを借りて、何とか起き上がるところまではできた。
「ありがとう…」
「うん」
「何かさ、上半身ガチガチなんだよなぁ、汐里は!もっと力抜いて!」
光太郎さんがバシッと私の背中を叩き、両手で肩をナデナデしてくる。
「足元ばっか見てると人にぶつかるから、顔は前向いてた方がいいぞ?」
今度はテツさんに顎クイされ、視線が固定。
いつの間にかスケート教室になってるよ…。
これで滑れるようになるの?
「えっと…あとは?」
「あとはひたすら滑る!慣れろ!ほれ!」
「ちょっ、あはっ!光太郎さっ、くすぐったっ!」
突如腰に手を添えられゾワゾワしたものが駆け巡る中、それはすぐに引き剥がされた。
…赤葦さんの手によって。
「木兎さん、ストップです」
「へ?」
「それ以上は間に合ってるので触らないでください」
「??」
「俺の、なんで」
「「「「……」」」」
俺の…
俺の…?って…
私のこと…!?
「ちょっ、あかーし!?こんなキャラだっけ!?」
「実はそーなんじゃね?意外と独占欲強いタイプ?オモロー」
「リア充ムカつくんですケド」
三者三様、リアクション酷い。
ていうか、赤葦さんに独占されるなんて。
夢かな、これ…?