第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】
「そんな…。こうやって少しでも会う時間作ってくれて、嬉しいです」
これは、本当。不満なんてない。
連絡だってマメにくれるし、会っている時はこれでもかってほどに優しい。
「汐里がすごく人に気を遣う子だってことは知ってるけど、俺にはそんなの要らないからね」
「え?」
「不満があったら言ってほしいし、甘えたいって思った時には、遠慮せずに甘えて?」
「……………ハイ」
「あ、今のは取り合えず "ハイ" って言っただけだな?」
「え!?」
私のことなんて見透かしているような、真っ直ぐな黒い瞳。
何でわかるの!?
いや、別に流そうとしたわけでは決してなくって!
そんな風に言ってくれることは、すごくすごく嬉しい。
でも、赤葦さんの負担になったら嫌だし…。
「こんなこと話すのは、汐里とずっと一緒にいたいと思ってるからだよ」
私に言い聞かせるみたいな、その声。
とても穏やかで、優しい。
ずっと、一緒に…
それは、私だって同じ。
「付き合ってるからって何でも話せとは言わないけど。でも、大事なことだけはちゃんと話そう?俺も、そうする。甘えていいし、ワガママも言えばいいよ。汐里はそのくらいでちょうどいいと思う」
「だけど…もし、赤葦さんをメチャクチャ困らせるようなワガママだったら…?」
「その時は、"メチャクチャ困るんですけどー" って言うから」
少しふざけたその言い方に、思わず笑ってしまう。
そしてホッとした。
赤葦さんに嫌な思いをさせてしまうことだけは、避けたいから。
「はい…赤葦さんもそうしてくれるなら。大事なことは、ちゃんと話します」
「うん」
嫌われたくないとか、赤葦さんには少しでも良く見られたい、とか。
そういう気持ちがないわけじゃないけど。
ずっと二人でいたいから。
そのためには、少しずつ自分を見せて、ちゃんと向き合うことが必要。
私に…出来るかな…