• テキストサイズ

フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



赤葦さんの瞳が、一瞬大きく開いた。
手のひらで顔の下半分を隠して、ゆっくりと私から目を逸らす。


「俺に聞かれてもわかんないけど…。でもそれ、すごい殺し文句だね」


殺し文句…?


滅多に見られない赤葦さんの仕草とその言葉で、自分の発言がすごく大胆なものだったのではないかと気づく。

「ちょっ、待って。私だけこんな恥ずかしいの、やだ…!」

「いや、そう言われても」

「赤葦さんも何か暴露して!」

「何、その無茶ブリ」

困ったように笑う赤葦さんは、考えるようにして一度窓の外に視線を投げる。
それから再び私の方に首を戻すと、静かにこう繋いだ。


「実は、あの時キスしたくなったんだよね」


「…あの時?」


「水族館の、観覧車」


思っていた以上の爆弾を投下した、赤葦さん。
私の思考は一時停止する。




観覧車…


嘘…


ほんとに?あの時?



今更ながら顔が熱くなる。
それなのに赤葦さんときたら、さっきとは打って代わって平然としている。

何だかフェアじゃない…。

こんなことを聞かされた私は、嬉しいやら恥ずかしいやら。


…ううん。


やっぱり、すっごく嬉しい。



「そうでしたか…」


「うん、そうでした」


「私、も…」


「え?」



私と赤葦さん。
あの観覧車の中で、同じことを思っていたんだ。
そうわかっただけで、堪らなく嬉しい。




「私も。あの時、キスして欲しかった…」





/ 680ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp