第5章 glass heart【赤葦京治】
次に呆気に取られた表情をしたのは、赤葦さんの方だ。
また大胆なこと…言っちゃったかな…?
少しだけ、俯く私。
「じゃあ…」
静かに口を切った彼が、腰を上げ私の隣へやって来る。
「今日は、しよっか。…キス」
冷えた手を包んでくれる、大きくて温かい手のひら。
優しい瞳が私を見つめ、指先で頬を撫でる。
「うん…」
小さく頷いて、瞼を伏せた。
静かに重なる唇。
二人でいる幸せを噛み締めるように、何度でも、ゆっくりと。
冬の空に煌めく星座。
一望できるのは、クリスマス用に飾られた鮮やかなイルミネーション。
そして…
今日の最後に、あなたとのロマンチックなキス。
昔から憧れていたの。
ハッピーエンドの恋愛映画には、ラストを締め括るキスシーンがお約束。
あのヒロインたちは、エンドロールのあとも幸せな日々を送っているんだって…
そう、信じてもいいよね?
赤葦さんを好きになって、三年。
長かった私の片想いのお話は、これで終わり。
赤葦さん。
あなたといると、
まるでこれが初恋のようにドキドキして、
夢の中みたいにふわふわして、
こんなにも嬉しくて楽しくて、
涙が出ちゃうくらい、幸せ。
大好きです、心から。
こんな私だけど、
ずっとずっと、
ずーっと…
よろしくね。
【 end. 続編へ… 】