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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



「だったら、このままバックレちゃおっか?」

「ちょっ!赤葦さんキャラ崩壊!」

慌てふためく汐里を逃がさないよう、腕に力を入れる。

「そりゃあ、俺だって汐里と二人でいたいから…身勝手にもなるよ」

俺の腕の中で、唖然とする汐里。

「戻ったら、みんなの汐里になっちゃうし」

「え…。私、何様?」

「もう少しだけ独り占めしたい」

「…そんなこと言われたら……」

「ほら。誰もいないだろ?」

周囲を見るよう促すと、チラリと辺りを確認し、小さく頷いてくれる。


街灯から離れた暗がりで、また口づける。
こんな…路上でキスなんかしたことない。

押さえきれない想いはそのままに唇を合わせ、遂には舌を差し入れた。



冬の夜、辺りはとても静か。
シンとした中で聞こえる、二人分の息づかい。
空気を濡らす音。
俺とのキスに浸る、汐里の声。


深く、深く。
舌と舌を絡ませ、体を密着させて、髪から背中、ウエストに向かい汐里の形を確かめるように俺の手は動く。

自分の意思であるはずなのに、まるでそうではない気すらしてしまう。
それほどまでに今の俺は衝動的だ。


もっと近くに来て欲しくて、抱き締める腕に力を込めた。


「んっ…ぁ、はぁ…、」


俺のキスに応えてくれる汐里が可愛くて可愛くて……


止められない。




甘さすら感じる、汐里の唇と舌。
淫らな音を響かせながら、もっと…もう少し…と、ひとしきり味わって、ようやく唇同士の距離をとる。

間近にある汐里の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。

「…っ、こんなキスされたら、光太郎さんち戻っても普通にできない…」

「我慢した方がよかった?」

「それは…、そんなこと、ない、です、けど…」

恥ずかしそうに言い淀む汐里を目の当たりにすれば、すぐに心は満たされていく。




視界の隅に、自転車のライトが映った。
近づいてくる走行音。



名残惜しさをもう一度だけキスで塗り替えて、汐里の体を解放した。


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