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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



処置室へ戻ると、汐里はベッドに寝かされ点滴に繋がれていた。
出入口を開ける扉の音でこちらに気づく。

「赤葦さん…」

「どう?大丈夫?」

「横になったら少し楽になりました」

「そっか」

まだ顔色は悪いものの、微かに笑ってくれる。
部屋を行き来する看護師の足音だけが響く中、俺はベッドサイドの椅子に腰かけた。

「本当に、ありがとうございました」

「気にしないで。点滴で済むならよかった」

「はい…。あの、ツッキーは?」

「帰ったよ」

「そ、ですか…」

ゆっくりと、天井へ視線を動かす汐里。


自分でも呆れる。
汐里が月島の名を口にすると、モヤモヤしたものが広がっていくんだ…。



少しの間、沈黙が居座る。
汐里の体調を考えたら今ここで例の話なんて重いだろうし、取りあえずは胸の中に納めておくことにする。
正直に言えば、月島に先を越されたことで焦りはあるけれど。


今は汐里の安静が最優先だ。
体も、心も。





「あの、私…赤葦さんに言ってなかったことが…」


「ん?」


「母からどこまで聞いたかわかりませんけど」


「…体のこと?」


「はい」


天井からまた俺に視線を戻し、汐里は静かに話し出す。



「私、生まれつき心臓が弱かったんです」


「心臓…」


「小さな頃から運動制限されて、体育の授業や運動会なんかも参加できる種目は決まってました。
母は相当気を配ってくれていたと思います。
バリバリのキャリアウーマンだったのに、私が生まれてからは仕事も辞めたって、祖母が教えてくれました」


「そう…」


「でも、中学二年の時手術して…ちゃんと治ってるんです」


「…ほんと?」


「はい。定期的に検査してますけど、ずっと異常ありません」



思わず、安堵のため息が漏れる。
これから先、汐里の体が脅かされるようなことがあったら…と、気が気ではなかった。


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