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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



街路樹の葉が、日に日に少なくなってきた。
もう昼間でも肌寒く、冬の訪れがすぐそこに迫っていることがわかる。


これまでは慌ただしく毎日が過ぎ、季節の移り変わりに目を留めるなんてこと、あまりなかった気がする。



汐里との連絡が途絶えてからだ。
こんなにも、一日一日を噛み締めながら過ごすのは。
やたらスマホを気にするようになったのも。






「なあなあ、赤葦!9月20日って何の日だったか覚えてるか!?」

「木兎さんの誕生日ですね。おめでとうございます」

「さっすが赤葦っ!何かプレゼントあったりする!?」

「すいません、忘れてました」

「えっ!?」


テーブルを挟んだ向こう側に座る木兎さん。
そのムササビヘッドの真上に、"ガーン" という擬音が乗っかっているのが見える。


「その代わり、今日の飲み代、俺が奢ります」

「マジで!?じゃあ、ワイン飲んでもいい!?」

「どうぞ」


馴染みのバーの中。
店員を呼ぶ木兎さんの声が響き渡り、店内の注目を一身に浴びる羽目になる。


こうして会うのは、汐里と三人でここで飲んだ夏の夜以来。
木兎さんの誕生日からはもうすぐ2ヶ月が経とうとしているものの、9月20日のアピールには余念がない。
高校生の頃からこの調子だから、覚えたくなくてもこの人の誕生日は記憶に残ってしまっている。




「んでさぁ、汐里と花火、どうだった?」


ワインと食事を注文し終えた木兎さんは、唐突にそんなことを尋ねてきた。
汐里には怖い思いをさせてしまったし、"楽しかった" という言葉が適切かはわからないけれど、でも…


「行って良かったです。それから、その前の遊園地も」

汐里を意識するきっかけになったのは、あの遊園地での一日があったからだと思う。
あんなにも汐里と密に過ごしたことはなかった。
遥との恋愛を過去のものとして受け入れられたのも、汐里の存在があったから。
そう考えると、きっかけをくれた木兎さんには感謝だ。


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