第5章 glass heart【赤葦京治】
病院を出た時には、外はすっかり暗くなっていた。
家に着いてから…なんて悠長なことは考えられなくて、病院の出入口のそばで汐里に電話を入れる。
出来ることなら、今日もう一度会いたい。
あいにく携帯は繋がらない。
今日の謝罪と、電話を折り返して欲しい旨をメッセージした。
電車に揺られ家に帰り、取り合えず汐里からの連絡を待つ。
明日の出勤の準備だけは済ませ、あとはテレビを流しつつボンヤリと時間をやり過ごすだけ。
もし汐里が会ってくれると言うなら、車で彼女の家へ向かって車内で話そう。
帰宅して30分、1時間、2時間…と進む時計の針。
何度かスマホを気にしてみるものの、いつまで経っても電話はおろかラインの既読すら付かない。
やっぱり…傷つけたんだよな…。
連絡がとれないことで悪い想像ばかりが膨らんでいく。
もっと別の方法があったのかもしれない。
いっそのこと、汐里にも付いて来てもらえばよかったのか?
いや、それはそれで無神経だよな…。
じゃあ、どうすれば良かった…?
考えあぐねたところでもう過ぎてしまったことだというのに、それでも考えずにはいられない。
とにかく、汐里に話をしたい。
しかし俺の思いとは裏腹に、日付が変わっても汐里からの連絡はなかった。
一本のLINEが入っているのに気づいたのは、翌朝のこと。
[すみません、夕べは早くに寝てしまいました。昨日のことは、本当に気にしないで下さいね]
返信があったことに安堵したものの、文字だけでは今の汐里の気持ちなど図れない。
出勤前で慌ただしかったが、取り急ぎこれだけは。
[ありがとう。今夜電話する]
まずは直接声を聞いて…
それからやっぱり、君に会いたいんだ。