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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】


ふんわりした長いブラウンの髪の毛が揺れている。
パーマかかってんのか?
初めて会った頃は黒髪だったな、そう言えば…。
頭の位置は研磨と同じくらい。
女にしては背が高い方だと思う。

腰丈のピーコートから細身のパンツを履いた足が伸びていて……。
いい足してんなぁ………。
って、何考えてんだ俺は。変態かよ。

「なあ、たまにはミニ履いたら?高校の頃みたいに。梨央ちゃんの生足ご無沙汰だし」

「変態」

「クロ最低」

二人に冷たい視線を送られた所で、バス停に到着した。
数分待っただけでバスはやってくる。
通学、通勤時間帯のバスはやっぱり混んでいて、慣れない人間なら人酔いしてしまうかもしれない。
立ったまま、しばらくの間流れる景色の中を揺られる。

背が高いと言っても、俺よりかはだいぶ小さいワケで。
梨央ちゃんの頭が動くたび、髪の毛からふわっと優しい香りが舞い上がった。

そんなことに意識を持っていかれてたら、駅前のバス停に到着。
梨央ちゃんは地下鉄を使うから、まだこのまま乗っていく。

「じゃ、またな」

「うん、また」

最後にひと言交わして、俺と研磨はバスを降りた。
通り過ぎていくバスを見上げてみると、梨央ちゃんが小さく手を振っている。
俺は片手を上げてそれを見送った。

俺の隣で研磨がポツリと呟く。

「梨央ちゃん、綺麗になったね」

「お?研磨がそんなこと言うの、珍しいじゃん」

「そろそろクロが手出すんじゃないかって、ヒヤヒヤしてるんだけど」

「そんなことしませんー。梨央ちゃんはそういうんじゃないんですー。なんてーのかな……。あ、カツオがウキエさんに憧れる感じ?あれと一緒よ」

我ながら上手いこと例えた。
研磨は小さく「へぇ…」と気のない返事をする。

「梨央ちゃん、来月実家出てくらしいよ。就職先が遠いから」

「そうみたいだねー」

「聞こえてたんだ?」

はい。
聞こえてましたよ。
まあ、ずっと同じ環境でいられる、なんてことはないワケで。

年の差は二つ。
二歳も年上。
この二歳差は、やっぱり大きい。


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