第5章 glass heart【赤葦京治】
「皆さんバレーしてたんですよね?合宿とかありました?」
「あったよ。夏なんか埼玉まで行って」
「そうなんですね。うちの弟も今高校生で、サッカーしてるんです。合宿って大変みたいですね。マネージャーがいないから、やること沢山あるみたいで」
「あー、それは大変だろうね。練習だけに専念できないし」
「そう、弟もそう言って…」
「あかーしぃっ!!何汐里ちゃん独占してんの!?」
突如私たちの間に入ってきたのは、木兎さん。
赤葦さんと私の肩に腕を回してくる。
「別に独占してませんよ…。木兎さんたちこそ、お楽しみでしょう?」
確かに、テツさんと月島くんにも私の連れてきた友達がピッタリくっついてる。
でも、月島くんは乗り気じゃない感じかな?
「光太郎くーん!汐里んとこ行くの!?浮気者!」
「違うって、みきちゃん!ちょっと赤葦が話あるって言うからさ!待ってて!」
みきは明るくてノリがいいタイプが好きだから、木兎さん狙いなんだろうな。
何気に名前で呼んでるし。
「俺、木兎さんに話なんてないッスけど」
「俺だってねーわ!話あるのは汐里ちゃん!」
「何ですか?」
「みきちゃんデートに誘いたいんだけどさ、どこ連れてったら喜ぶかな?」
何だかそわそわしながら、私に聞いてくる。
「みき、テーマパークとか遊園地が好きですよ。ジェットコースター大好き。あ、でもお化け屋敷は絶対にダメです。ふざけて入ろうもんなら、たぶん嫌われるくらいダメですから。気をつけて下さいね。あと、おしゃれなカフェとか雑貨屋さん大好きですよ」
「ほんとに!?いいこと聞いた!ありがとな!いや~、汐里ちゃんてマジいい子だなぁ!すっげー可愛いし!黒尾の友達なんだよな?ってことは…俺とも今日から友達だ!」
「ええ!?あはは!木兎さんって面白いですね!」
クルクル変わる表情が印象的で、底抜けに明るい。
少し話しただけで、何だかこの人の人柄が見えたような気がした。
「名前で呼んでよ!俺も汐里って呼ぶからさ!」
「はい…じゃあ、光太郎さん?」
「おう、そんな感じで!早速みきちゃん誘うわ!じゃあな!」