• テキストサイズ

フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



ブツブツ言う目の前の弟は、気持ちいいくらいカレーを掻き込んでる。

「ね、部活楽しい?」

「楽しいよ。どうして?」

「私、部活とかしてこなかったでしょ?だから、海斗みたいに夢中になれるものがあるって、羨ましい。羨ましいし、カッコいいって思う」

「…おばさんみたい」

「あ!照れてる~!可愛いっ!」

「るせーなぁ…」


学生時代、私はバイトばかりしていた。
特別やりたいこともなかったし、興味のあることは流行りのファッションや新作のコスメ、旅行。
どれもお金のかかるものばかり。
始めはお金を稼ぐ目的で始めたけれど、それはそれで社会勉強になったし、いい出会いもあったし、貴重な経験ができたと思う。

でも、仲間同士で高めあって、競いあって、団結して何かをやり遂げようと努力すること。
学生の時にしか味わえない、こんな経験。
夢中になれる何かを見つけていれば、私にもそんな思い出があったのかなぁ、なんて考えたりもする。

でも考えたところで、私には二度と訪れない時代だから。
頑張ってる海斗を見守るのが、今の私の楽しみ。


「あ、姉ちゃん。明日も弁当肉入れて」

「ごめん、肉ないんだ。買い忘れてた。シャケ弁でもい?」

「シャケかぁ…」

「文句言うなら作らないよ」

「シャケ大好きっス」


綺麗に食べ終わったお皿を下げて、二人分の食器を洗う。
私もゆっくりお風呂に入ってスキンケアして、ようやく自分の部屋へ。

置きっぱなしにしていたスマホをチェックすると、一件の不在着信があった。


/ 680ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp