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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】



寒い。
冬の朝はただひたすら寒い。
2月ともなれば、それもピーク。
時には雪だって舞う。

週に一度、梨央の仕事が休みの日。
それが、火曜日。


スマホのアラーム音で目を覚ました俺は、その音を止め、布団を頭まで被り直した。

冬の朝は何でこんなにも薄暗いんだ。
きちんと設定したはずのアラームが鳴ったとしても、「これは何かの間違いだ」と現実逃避したくなる。

とは言うものの、どこかのタイミングで起きなきゃならないワケで。
室内の寒さを覚悟しつつ、少し体を起こす。

ところが、部屋の中は予想していた寒い空間ではなかった。

部屋の隅でオイルヒーターが作動している。
もちろん、付けっぱなしで眠ったわけではない。


ああ…俺が寒くないようにしてくれたんだな。


夕べ俺の家に泊まりに来た梨央。
ベッドからは、既にその姿がなくなっている。


暖かい室内は、着替えをしていても苦にならない。
出勤の準備を整え洗面を済ませ、既に人の気配のあるリビングに入った。


「あ、おはよう。てっちゃん」


「おはよ」


テレビを見ながらコーヒーを飲んでいた梨央は、俺に気づくと立ち上がり、キッチンへ向かう。

「今朝はスコーン作ったんだけど。食べる?」

「ああ、ありがと。もらう」

梨央と付き合う前は朝食を摂る習慣がなく、いつもコーヒーだけで済ませていた俺。
ところがこうして一緒に朝過ごしていると、梨央が何か用意してくれるようになる。
ヨーグルトだったり、フレンチトーストだったり、小さなおにぎりだったり。
押し付けがましいわけじゃなく、自分が食べるついでだからと言って、ほんの少しだけ。
そんな風に過ごしているうちに、今では一人の朝でも何となく食事を摂る習慣がついていた。

「休みなんだから、早起きしなくていいぜ?適当にパンでも食うし」

「別に無理してないよ。早起きはもう昔からの習慣だし。てっちゃんと一緒に朝ごはん食べたいだけ」

コーヒーの香りが立ち上るカップを俺の目の前に置きながら、梨央は微笑む。


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