第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
*黒尾side*
風呂を溜めてあったまり、テレビをつけて何となく画面に目をやる。
ただ飛び込んでくる映像を目に映しているだけで、頭には入ってこない。
頭を占めているのは、梨央のことばかり。
早く会いたい。
早く顔が見たい。
早く触れたい。
早く伝えたい。
何度でも、この想いを……。
ただ時間をやり過ごしていると、インターホンが鳴る。
訪問者が誰なのかなんてわかりきってることで。
玄関へのほんの僅かな距離でさえ、もどかしい。
扉を開けたすぐそこには、俺の好きな笑顔で立つ梨央の姿があった。
「待ってたよ」
「うん…お待たせ」
気持ちが逸る。
小さな手を握り部屋の中へ引き込むと、俺のしたいことがわかるかのように、梨央から腕の中に寄り添ってきた。
髪の毛に顔を埋め梨央の香りを吸い込んで、身体中で存在を確かめる。
早く梨央を……
「てっちゃん……抱いて……」
切なそうに俺を見上げて、そんなことを言う梨央。
俺も同じだ。
今すぐ抱きたい。
それはただ単純な性欲ってもんじゃなくて、体と心が心底梨央を欲しがってる。
俺を、梨央の中に植え付けたい。
「おいで…」
横抱きにして、足早に寝室へと連れていく。
ベッドへ寝かせてそこでやっと靴を脱がせ、上着、カットソー、ボトムス、下着…
キスを繰り返しながら一枚ずつ剥いでいくと、露になる梨央の肌。
「んっ、てっちゃん…」
「梨央…」
蕩けるくらいの熱いキスを交わしながら、まだ冷たいシーツに二人分の体温を縫い付けていく。
腰から骨盤を伝って指を滑らせ、一際熱を保った場所へ。
くちゅっ、と水の音が鳴る。
焦らしたり言葉で苛めたりなんて、今日の俺はそれどころじゃない。
溢れ出て止まらない想いを、梨央に。
梨央ならそれを掬ってくれる。
「梨央……愛してるよ……」
「私も……愛してる……」