第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
中学三年の時、何かと私に付き纏ってきた彼。
それが、成瀬竜くん。
同じクラスだった彼は、自信家で高圧的で…ちょっと苦手なタイプだった。
大した接点もないのに何故か好かれてしまった私は、ある日彼に告白される。
もちろん、好きでもない人と付き合うなんて考えられなかったし、丁重にそれを断った。
それからしばらくして、お父さんの事件が発覚。
近所に住んでいた隣のクラスの子が学校でも噂を立てて、私は陰口や無視、嫌がらせをされるようになる。
その頃まともに私と話をしてくれたのは、クラスでも数人。
竜くんも、その一人。
苦手だと感じていたこともあったけれど、変わらず接してくれる竜くんの心遣いはとてもありがたかった。
そんな時―――。
『武田。今日の放課後、空いてる?』
『…何?』
『担任に体育倉庫の整理頼まれてさ。手伝ってくれない?』
『体育倉庫…?いいよ』
親切にしてくれてた竜くんに、何の疑問も抱かなかった。
体育倉庫に二人で入り、電気のスイッチに手を伸ばす。
『何からすればいいの?』
後ろにいる竜くんを振り返った途端―――
突然腕を引かれ、抱き締められた。
『やっ!何!?やめて!』
『何で?最近俺のこと、意識してるでしょ?』
『何それ…してな…っ、やだぁ…』
私の顔を覗き込むと、今度は強引にキスしようとしてくる。
必死に首を振って避けるけれど、ついに私の体は竜くんに押し倒されてしまった。
『下半身だらしない男の娘だろ?お前もそういうこと、好きなんじゃないの?』
半分笑いながら私を見下ろす竜くん。
殴られたみたいな衝撃だった。
何で…?
酷い…
私とお父さんは関係ないじゃない…
私、何されるの…?
制服のブラウスを捲られ下着が露になると、竜くんの手は胸に触れた。
嫌だ…
気持ち悪い…!
とにかく必死に体を捩って…
私は竜くんの腕に、思い切り噛み付いた。
『いっ…てぇ!!てめっ!何すんだよ!!』
噛み付いた拍子に竜くんの腕の力は抜け、私の体は自由になる。
すかさず、彼の頬を引っ叩いた。
『最低っ…!!』
肩で息をしながら睨みつけると、同じように私を睨んだあと舌打ちが返ってくる。