第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
「梨央さんがお前の彼女だって知ったとき、それなりにショックだったよ。お前のことは嫌いだし過去に色々あったけど、別に恨んでるわけじゃないし」
「へぇ…」
「わざわざお前の彼女を好きにならなくても…って、そう思ったけど。でも、どうにもならなかった。梨央さんがすげぇ欲しくなった」
マジで調子が狂う。
こんな風に、真摯に俺と向き合おうとするこいつに。
「梨央を傷つけた俺を許せねぇんだろ?わざわざこんなこと話す意味あんの?」
「あるだろ。梨央さんの心がまだお前にあるんだから。俺は、梨央さんがお前のこと好きなままでもいいよ。そういう梨央さんごと受け止める覚悟もある。時間をかけて俺に気持ちを向けてくれたらいいって、そう思ってる」
「……」
クソ……
悔しいけど、本気だ。
大将は、本気で梨央が好きなんだ……。
「お前は?梨央さんのこと、どう思ってんだよ」
真っ直ぐな視線が痛い。
どう思ってる、って。
俺は梨央のことが好き過ぎる。
だからこそ、あいつを壊してしまいそうで…
「一緒にいたら、梨央を締めつける。きっとまた、傷つける」
「はぁ?どう思ってるかって聞いてんだよ。好きなのか、嫌いなのか。一緒にいたいのか、いたくねぇのか」
不機嫌そうに腕と足を組み、切れ長の瞳を更に鋭くすると、大将は俺を睨んだ。