第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
涙目どころか、その瞳からは次々涙が溢れている。
眉根を寄せ、頬は上気して、唇からは甘く淫らな声が止まらない。
「んんんっ…あぁっ…あっ…!」
可愛いし、官能的だし、そんな顔が俺の欲を高めるのも確か。
でも、何故だろう。
こんなに俺を求めて、すがって、泣いている顔を見ていたら…。
"綺麗" だと思ったんだ。
「はぁっ……梨央……綺麗だよ……」
「あっ……んんっ!」
「すっげ、……綺麗……っ」
「てっちゃぁん……、すき……すきぃ…」
「俺も……っ」
欲しいのは梨央だけ。
マジで他にはなんもいらねぇ。
すげぇ思考が女々しくて嫌になる。
らしくないってのも、自覚してる。
でもな、俺は梨央がこの腕の中にいる感触を知ってしまったから。
梨央がいなかった頃の自分なんて、もうとっくに思い出せねぇんだよ…。
「んんっ、はぁ……」
「梨央、俺、イきそ…っ…」
限界ギリギリ。
果てる寸前。
もう、イカせてくれ…。
梨央の足が俺の背中にぎゅうっと絡む。
「いや…イカないでっ…、まだ…離れたくないっ……」
「は…!?ちょ…待っ……」
そんなこと言われるなんて、予想外どころじゃない。
いつものように受け止めてくれるもんだと思ってた。
「いいよ」「一緒にイこう?」って、優しい梨央の声で。
だから、こっから先耐える準備なんてしてなかった。
本日、二度目の撃沈―――。
「てっちゃん?大丈夫……?」
「……」
「気持ち……よかった?」
「……ハイ。梨央より先にイッちゃうくらいデスカラネ……」
「私、沢山気持ちよくしてもらったよ?何度もイッちゃったし……」
「でも、足りなかったんだろ?」
まだイカないで、って…そういうことだろ?
「あれは…もっとしたい、とかそういうことじゃなくて…。いや、そういうことも少しはあるんだけど……」
どっちだよ?
「何だか、ね。てっちゃんが今までで一番近くに来てくれた気がしたの。心も体も。だから、言葉そのままの意味。離れて欲しくなかった」
何だよ…それ。
まるで、俺の心の声が届いてたみたいじゃねぇか…。