第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
絵画も彫刻も見終わって、館内のレストランでお昼ごはん。
晴れててよかった。
テラス席は暑いから止めたけど、一面ガラス張りのこの場所からは緑豊かな風景が見える。
白で統一されたガーデンチェアーやテーブル、パラソル、同色のタイルテラス。
グリーンと白のコントラストが綺麗。
食事も終わり、アイスティーを飲みながらひと息つく。
その後ギフトショップでお互いぶらぶらお土産を見ていたら、カワイイ猫のキーホルダーを発見。
「これ可愛い!研くんに似てない?」
「あー、ホント。あいつ猫顔だもんな」
「で、この黒猫はてっちゃん」
「え。俺?」
「私、これ買おうっと」
三毛猫と黒猫のそれを手に取る。
「二つも?」
「三毛猫は研くんへのお土産だよ」
そう言うと、てっちゃんは渋い顔をする。
「なんで梨央と研磨がオソロなワケ?俺も買う」
そう言って、大きな身体で可愛い猫のキーホルダーを物色している。
その後ろ姿は何だか異様だ。
「あれあれ?てっちゃんヤキモチですかァ?」
いつもからかわれるのは私だから、少しだけ反撃。
気まずそうにしたり、ムキになって否定したり、ほんのり顔を赤らめたり。
そんな反応を期待した。
てっちゃんは私に背を向けたまま言う。
「そうだよ」
「え…?」
何…?
何なの…?
もう…やっぱりてっちゃんのが一枚上手。
ヤキモチとか…嬉しすぎるよ…。
結局、私の方が動揺しちゃってる。
そんなこと知ってか知らずか、てっちゃんはブツブツひとり言を呟いてる。
「梨央っぽいのねぇなぁ。梨央は猫って言うより犬っぽいし…。んー、あ、まぁコレかな」
探し出したのは、白猫のキーホルダー。
「白いとこしか似てねーけど」
沢山のキーホルダーの中から選ばれた、三匹の猫。
研くんの知らないところで、何故か三人お揃いのキーホルダーを買う。
私たちとオソロなんて知ったら、表情の乏しい研くんでもおかしな顔するかも。
想像したら笑えてきた。