• テキストサイズ

フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】



自分の部屋を出て、オートロックのカチャッという音が聞こえるよりも前。
隣の部屋の扉へと辿り着く。

ノックをすれば、すぐに部屋の主は顔を出した。

こいつも風呂上がりなのだろう。
肩に触れるくらいの濡れた髪を垂らして、俺の前に現れた。


「どうした?」


「…………雷」


「え?」


部屋の中へ意識を向けてみると、雷の音が聞こえる。
しかも、結構な轟音。

うん、雷鳴ってるな。
それが?


「雷……怖いの」


「…………」


ハァ!?ガキかよ!
そんな理由で呼びつけたのか?
それとも、か弱い女アピール?
どっちにしてもくだらねぇ。


「布団被って寝ろ。じゃ、おやすみー」

「ちょっと待ってよ!怖がる女子を放置してく気!?」

「"女子"とか自分で言っちゃう奴は、大抵図太くできてんの。雷ならその内おさまるだろ」

「酷い……本当に怖いの……黒尾くん、おねが…」

成瀬がそこまで言いかけたところで、また大きく雷鳴が聞こえる。

「いやぁ…っ!!」

肩をビクッと揺らして叫ぶと、俺にしがみついてくる。


………。

これマジのやつ?

雷こんな怖がる奴いんの?


「俺にどうしろっての?雷なんてどうにもなんねぇだろ」

「落ち着くまで一緒にいて……」

「ハァ?」

面倒なことになりそうだ。
全力で拒否してぇ。

「あ、わかった。耳栓貸してやる」

長距離移動の仮眠用に、出張の時はいつも持ち歩いてるんだった。

俺は、自分の部屋へ戻ろうと踵を返す。
すると、また腕を掴まれた。


/ 680ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp