第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
小さく唇を開いた梨央の中へ、遠慮なく舌を伸ばす。
絡めて、吸って、溢れてくる唾液も掬って飲み下す。
全部甘い。
梨央の全部が、このベッドの中の空気が、俺を酔わせるように甘い。
「てっちゃん…」
「ん?」
「あの………当たってる……」
うん。
頭と下半身は別物。
こんなことしてたらそうなる。
仕方ねぇんだ、生理現象だから。
「気にすんな」
「でも…」
梨央の腹の辺りに押し当てて、緩く擦る。
悪い。
今日、したいとかじゃねぇから。
少しだけこうして、すぐ止めるから。
「ん…。辛い、よね」
「大丈夫。すぐ治まる」
行き場のない固いモノを、梨央の体から離す。
元々会う約束すらしてなかったんだから。
少しの時間でも顔を見て話せて、笑顔を見られて、寄り添ってくれて、こうして唇から梨央を感じることができて…。
それだけで満足だ。
あとはこのまま、朝まで梨央を抱き締めていられれば、それでいい。
最後にもう一度唇を味わって、二人で眠ろう。
そう思い、少し顔を傾ける。
すると突然、ソコに温かいものが添えられた。
梨央の手の平だ。
「……梨央チャン?」
「満足してもらえるか、わからないけど…。させてくれる……?」
おずおずと発せられた言葉で、俺は息を飲んだ。
恥ずかしいのか、梨央は俺から視線を外す。
"させてくれる"…?
いや、そんなこと……
「んなこと、望んでねぇから」
梨央に無理させるのは嫌なんだ。
生理中、セックス以外で奉仕しろって強要した、"あいつ"と同じになっちまう。