第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
汐里の背中を見送り、俺はスマホを取り出した。
梨央にメッセージを残すため。
閉店してすぐに仕事が終われるワケじゃねぇけど、まあ、会えたらラッキーってことで。
いつものバーで、食事しがてら飲んで待つことにする。
梨央の仕事が早く終われば会えるし、あんまり遅くなるようなら今日は諦める。
ディスプレイをタッチし終えスマホをスーツのポケットに納めた俺は、駅とは反対方向へ足を進めた。
ワインとパスタを注文して、それを口にしながら梨央との旅行先を考える。
梨央ならテーマパークも楽しんでくれそうだよな。
はしゃいでネズミの耳とか着けるのが目に浮かぶ。
それか夏らしく沖縄とか。
梨央、水着とか着んのかな。
水着姿見てみてぇな…、いやいや!
ビーチで男の目に晒されるじゃねぇか!
それはダメだ!
じゃあ、温泉でゆっくり。
温泉街散策して、ウマイもん食って、温泉浸かって…。
湯上がりの梨央の浴衣姿とか堪んねぇだろうなぁ……って、オイ。
何でそっちに思考がいっちまうんだ…。
まあ、しょうがねぇよな。
俺は本能に正直なだけ。
梨央がエロいのが悪い。
邪な考えを梨央のせいにして自己完結したところで、テーブルに置いたスマホが鳴る。
表示された名前に思わず頬を綻ばせ、通話ボタンを押した。