第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
「そう言えば、お盆休みあるんだよな?」
「あるよ」
「どっか行くか?旅行。泊まりで」
梨央は土日仕事だから、こういうタイミングでないと旅行なんてできない。
俺の言葉で、梨央は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「行きたい!」
「どこがいい?」
「どこでも!」
「"どこでも"だと困るな…」
「だって、本当にどこでもいいの。てっちゃんと一緒にいられるなら」
「……」
おいおい…。
何なの、この人は。
どうしてこんなに真っ直ぐなんだ。
あー、今ハート鷲掴まれたわ。
マジでヤバイんですけど。
「梨央サン?時に相談なんですが」
「何?行きたい場所あった?」
「いや。何かね、アソコ反応しちゃった」
「アソコ…」
「うん。黒尾さんちのテツローくん」
「…………何で?」
「俺も謎。……梨央、もう一回……ダメ?」
まだ何も纏っていない肌に指を這わせると、梨央は擽ったそうに体をくねらせた。
「てっちゃん、エッチ…」
「梨央に言われたくありませんケド?」
ああ…その困った顔。
ほんと俺を煽ってるよな。
まあ、無自覚なんだろうけど。
梨央といると、熱が治まらない。
俺たちはこの後、二度目とは思えない程濃厚で激しい情事に溺れた。
この先の未来に梨央がいてくれると思うと、俺の世界が彩りを見せる。
いなくなったらと思うと、自分が壊れそうで、堪らなく怖くなる。
女に対してこんな両極な感情に陥ることは、初めてだった。