第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】
何でこうなった……?
「高校時代に戻ってみようぜ~」なんて言いながらてっちゃんに手渡されたのは……。
セーラー服……。
「何でこんなものあるの…?」
「あるルートから入手した」
「てっちゃんが言うと一気に怪しさ倍増!どんなルートよ!?」
「闇のルート」
……。
何か怖い……。
「んじゃ、着て来いよ。待ってっから」
ニヤリと笑ってそれだけ言い残し、てっちゃんは寝室に消えていった。
コスプレ……するの?
しかも、いい歳してセーラー服?
制服ならせめてナースとかCAとか他に…って、そういうことじゃないか…。
「……」
コスプレなんて、初めて。
そんなこと言い出す彼氏は今までいなかったし。
でも、興味がないかと言えばそうではなくて。
ちょっと気恥ずかしいけど、てっちゃんがして欲しいことならやってみようかな…。
意を決して、そのセーラー服に袖を通すことにした。
寝室の部屋をノックすると、てっちゃんの返事が聞こえてくる。
おずおずとドアを開ける私…。
「おー!いいねぇ!似合うじゃん!」
近づいてくるてっちゃんは、私の姿を上から下までマジマジ眺めてる。
やっぱりちょっと恥ずかしい。
「んー…でも、もうちょいスカート短い方が好みかなぁ」
目の前に屈み込んで何をするのかと思えば、スカートの裾を持ち上げてくる。
私は思わずその手を抑えた 。
「エッチ…」
「はいはい、エッチでーす。認めるから、もっと脚見せよっか」
見上げてくるその顔は、イタズラをしかける時のようにふざけてる。
間近で脚を見られるのって、こんなに恥ずかしいの?
無言でてっちゃんを見てみれば、スカートのウエスト部分を折り返して丈を短くしてる。
「はい、出来上がり。照れんなって。俺、梨央の脚好きだって言ったろ?」
「……てっちゃん脚フェチなの?」
「ううん。梨央フェチ♡」
ん……?
何か今、語尾にハートマーク付いてなかった?