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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】



食事が終わり、二人で片付けを済ませた後。
ソファーに隣合わせに座って、アルバムを開く。
どれどれ?と目を向けようとしたその時。

てっちゃんは、私の肩に腕を回してきた。
そこに少し力が加わり、私は彼へと寄り掛かる格好に。


……。

…………何か、すごく自然。

ていうか、慣れてない!?


今までの彼女とも、こんなことしたのかな。
このソファーで寄り添って…。

……って、何考えてるんだろ。
だから何なの?
今抱き寄せられてるのは、他の誰でもない。
私なんだから。



子どもじみた嫉妬心を押し込め、改めてアルバムに視線を落とす。
その中に、今より少し幼い彼の姿を見つけた。

「わ!若い!」

「そりゃあな」

「でも、周りと比べて大人っぽいね」

「何?老けてるってこと?」

「じゃなくて!妙に落ち着いてるっていうか。ブレザー姿も、見方を変えるとサラリーマン?みたいな」

「やっぱ老けてるってことじゃねぇか!」





制服姿を懐かしみながらページを進めるうちに、バレー部のメンバーで撮影された写真が現れた。
部員の真ん中で笑ってる、十代の彼。
赤いユニフォームが映えて、とっても爽やか。
普段の胡散臭さは鳴りを潜めている。


汐里ちゃん、言ってたよね。
てっちゃんすごくモテてたって。
高校の頃も、バレンタインに沢山チョコ貰ってたみたいだし。

「私たち、同じ高校に通ってたらどうなってたのかな」

「え?」

「バレーの試合見に行ったり、朝練ない時は一緒に登校したりしたのかな。あの頃より近い距離でてっちゃんを見てたら、好きになったり…したかも。モテモテのてっちゃん見て、ヤキモチ妬いちゃったりなんかして…」

「おーい。妄想広がりすぎ!」

可笑しそうに笑いながら、人差し指でおでこをツンと突かれる。

あ…デコツンってやつですね…。


「今付き合ってるからそう思うんだろ?高三の女子から見た高一の男なんて、ガキじゃね?」


うーん。
一概に否定できない自分がいる。
てっちゃんは昔っからしっかりしてたしなぁ。
悪ふざけする時は年相応だったけど、でもやっぱり芯は大人びてて…。
子どもっぽい、なんて思ったことは、正直ない。





「でもさぁ、ちょっと試してみねぇ?」



「ん?」



ニヤリと笑うこの顔は……間違いなく、何か企んでる。




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