第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】
「あ…やっ…」
どんどん突き立てられて、また絶頂へ昇ってゆく。
すごい……。
こんなに曝け出したの、初めて。
喘ぎ声とか、気持ちいいとか、どこが好きかとか。
全部口に出しちゃってる。
大丈夫かな…。
引かれてない…?
頭の片隅ではそう思うのに、押し寄せる快楽の波に抗うことなんて出来ない。
むしろ、深いところまで呑み込まれてしまいたい。
そんな時、てっちゃんがふいに動きを止め、私の中から男根を抜く。
「?」
「もっと、エッチなことしよ」
「な…に…?」
てっちゃんはベッドの端に座って、手招きする。
「上から入れて」
騎乗位…ってこと?
上手くできるかな…。
向かい合わせに跨がって、てっちゃんの勃ち上がった場所に…。
「梨央ちゃん。逆」
逆……?
「俺に背中向けんの」
こんなこと、したことない。
前向きと違うの?
期待と不安を織り交ぜながら、私は言われるとおり、後ろを向いて腰を落としていく。
「うん…俺の足に座っちゃって」
「やぁ…っ」
肉壁を掻き分け、いとも簡単に入ってくるてっちゃんの熱。
それは私の中を存分に満たす。
下腹部の疼きに我慢できず、ゆらゆらと腰を動かした。
すると……
「え…っ、何!?」
てっちゃんは突如立ち上がる。
私は足を開かされて、太ももの裏を抱えられ…。
つまり、M字開脚。
「ちょ…っ、てっちゃん!?」
移動したのは姿見の前。
カーテンから漏れる月明かりで、私たちの姿がそこに映ってる。
「見える?」
「……」
「俺たちが繋がってんの、丸見え」