第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】
一瞬間をつくった後、フッとてっちゃんは笑う。
「んなこと、求めてねぇよ?」
「……そう………なの?」
「梨央ちゃんは、素直になってくれてたらそれでいいから」
「…………うん」
そっか…。
よかった…。
そう言ってくれて、ホッとした。
「なになに~?そんなこと気にしてたんだ。カ~ワイイ!」
「だって……!もう…」
ちょっとふざけた感じのてっちゃん。
私、気負い過ぎてたかな?
ああ…何か恥ずかしい……。
思わず視線を外す。
そしたら、真面目な声色でてっちゃんに引き戻された。
「あ。でも一個、約束」
「なに…?」
「嫌なことはちゃんと言えよ?体調悪いとか、痛いとか、そのプレイは嫌だとか。ぜってー、我慢とかすんな。ほら俺、赤葦いわく変態らしいからさぁ」
冗談半分に言ってるけど。
前の彼のこと、知ってるからだよね。
ありがとう…。
「うん…わかった。けど、てっちゃんになら、されて嫌なことなんてない気がする…」
だっててっちゃんはいつだって、私の気持ち、ちゃんと考えてくれるもん。
「………梨央ちゃんさぁ、ほんっと煽るの上手いよな。俺スルースキルには結構自信あるけど。梨央ちゃんに関しては無理だわ…」
てっちゃんの手が私の背中に伸びて、ブラのホックを外す。
まるでそれがスイッチのようだった。
一気に彼の纏う空気が変わる。
布をずり上げて、露になった胸。
てっちゃんの手が直にそこに触れた。
そっと揺すられて、指先が先端を捏ねる。
もう一度キスされて、深く、深く…。
唇も、口の中も、手で掴まれた膨らみも、指で弄られる頂も。
いろんなところが気持ちいい。
「ん…っ」
「綺麗なおっぱい。固くなってる、ココ」
弄っていない方の胸へ顔を寄せて、てっちゃんの舌が固くなった場所を這う。
「あ…っ」
ゆっくりと円を描くような舐め方…。
何かいやらしい…。
それから口に乳首を含ませて、何度もチュウッと吸いつく。
だめ……それ……
すっごく……
「きもちい……」