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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】




「いらっしゃーい!」


「お邪魔しまーす」


卒業式を終えた週の土曜日。
俺は梨央ちゃんちを訪れた。

「あれ?研くんは?」

「それがさ、昼飯に変なもん食ったみたいで腹壊しちまったんだと」

「えー?大丈夫かな」

「家でゆっくり寝てるってさ。ごめんねー、可愛い研くんいなくて」

「もしかしてこの前の根に持ってる?」

梨央ちゃんはクスクス笑い出す。

「はい、これお土産。よかったらお母さんとどうぞ」

俺はぶら下げてた紙袋を手渡した。

「お土産なんていいのに。なあに?これ」

「苺大福」

「わ、好き!」

「梨央ちゃん、洋菓子は年中食べてるだろうからさー」

「うん、和菓子久々だよ。ありがとね」


お母さんと二人で暮らしているというアパートのリビングは、白を基調とした家具で揃えられていた。
つけっぱなしのテレビのニュースが、明日の天気を知らせている。

「たこ焼き久しぶりだなぁ」

「何か手伝う?」

「あと混ぜて焼くだけだから大丈夫」

リビングのテーブルに、たこ焼き器をセット。
材料を混ぜたタネを流し込み、たこを入れたらしばらく待つ。

「ウーロン茶でよかった?」

「ああ。サンキュー」

梨央ちゃんは片手にペットボトルのウーロン茶、もう片手にはビールを持ってきた。

「飲んでもいい?」

「俺にもちょうだい」

「何言ってんの、未成年」

俺が差し出した手は、パチンと叩かれる。
梨央ちゃんはガラスのコップにウーロン茶を注いでくれる。
「ちょっとぐらいいいじゃねーか」なんて文句を言いながらチマチマたこ焼きをひっくり返していると、プシュッと缶の開く音。

早くしろって急かされてるみてーだな。
そんなに酒好きなの?梨央ちゃん?

全部のたこ焼きを返し終わった。
俺はウーロン茶のコップを持つ。

「じゃあ、私たちの前途を祝して。かんぱーい!」

「乾杯ー」



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