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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】



決戦の火曜日。
梨央ちゃんの休みと合わせて、俺も有給をとった。
いつもより少し時間をかけて髪をセットする。
ちなみに、ツンツン立てたこの髪形は寝癖じゃねぇ。

天気は晴天。
貴重な梅雨の晴れ間。


梨央ちゃんのアパートの前まで迎えに行き、「着いたよ」の連絡をしてすぐ。
助手席の窓が控え目にコンコン、と鳴った。

「おはよう、てっちゃん」

「おはよう。どうぞ?」

「お迎えありがとね」

そう言いながら、助手席に乗り込む。

「全然。行き先さ、いくつか候補あって。水族館、プラネタリウム、さくらんぼ狩り…」

「さくらんぼ狩り?楽しそう!」

「やっぱ?せっかく晴れたし、実は俺も行きたかった」

梨央ちゃんの今日の服装。
カジュアルな格好してるし、ヒールも低め。
少し歩くくらいなら平気か?

「果樹園の近くに、季節の花が楽しめる庭園があってさ。今なら紫陽花が綺麗なんだけど。行ってみる?」

「そうなの?行きたい!詳しいんだね」

「うちのバスツアーのプランに組まれてんだよね、実は」

「あ、そっか」

就職したばかりの頃、ツアーの同行で行ったこともある場所。
平日だから、人も少なくてゆっくりできるはずだ。


それより…俺の車の助手席に、梨央ちゃんがいる。
あー…ガラじゃねぇな。ちょっと緊張してきた。


「ねぇ、てっちゃん。話があるって言ったじゃない?何だった?」

「え?」

いやいや!待ってくれ!
そんな、おはようのついでにできる話じゃねーよ!

「んー。それはまた後でな」

話をはぐらかし、アクセルを踏み込んで車を走らせる。
目的地までは一時間ちょいってとこか。

「コンビニ寄る?飲み物欲しいだろ?」

「あ、欲しいかも」

ってことで、道沿いのコンビニへ。

「何か遠足みたーい」

梨央ちゃんは無邪気にそんなこと言いながら、ポッキーとじゃがりこを手に取ってる。

「てっちゃんどっち食べたい?」

「んー。じゃがりこ」

「そっかぁ…」

「じゃあポッキー?」

「……」

「もう両方買えよ!ほら、カゴ入れて」

「うん」


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