第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】
*黒尾side*
正直言って、内心穏やかじゃねぇ。
最近梨央ちゃんとツッキーとの距離、近くね!?
この前も俺の目の前で囁くように耳打ちしちゃったりなんかして。
ほんっと俺らしくねぇけど、ツッキーの挑発に乗っちまったし。
そもそも、あいつが好きなのは……。
って、……まあこれはいいか。
それにこの前の飲み会。
汐里を怒らせて、一人カウンターで飲み始めたツッキー。
と、そばで話し込む梨央ちゃん。
気になって目を向けて見てたら、俗に言う「あーんして?」ってやつやってて。
ハァ?俺そんなことしてもらったことないんですけど?
あー、イライラする。
もうダメだ。
あのモラハラ男と別れたばっかだし、様子見してたけど。
悠長なこと言ってらんねぇ。
決めた。
もう、梨央ちゃんもらいに行く。