第3章 春
自己紹介するうち、ヴィクトルは俺が店主だと言ったことに相当驚いているみたいだった。
「勇利とあまり歳は変わらないんじゃないか?」
「勇利の4個上だよ、俺。あー、ヴィクトルと同い年。」
「俺と?」
ヴィクトルは目を見開いて、額に手をパチン!とあてた。
「嘘だろう……いっそ勇利より年下かと……」
「ええ、それはないだろ」
「…ちょっとわかる」
「ええ?」
なんだこの師弟いきなり息ぴったりか。お似合いなのでは?
ヴィクトルは割とショックをうけているようだった。……ちょっと理由もわかってしまった。額に手を当ててるあたり…。
「……ヴィクトル、勇利のコーチになるって聞いたけど」
「知ってるの?それなら話が早い、勇利を次のグランプリファイナルで優勝させるから!応援よろしくね」
立ち直ったらしいヴィクトルのウインクが飛んでくる。リビレジェウインクだー眩しいーー。なんとなく両手でガードしてしまった。オーラがすごい。
「知らない勇利の関係者はいないよ……。応援はする。でもコーチ料とか払えるの?」
未だにラテを行儀悪くちびちび飲んでいる勇利に話をふると、勇利はわかりやすくしかめっつらをした。こいつもこいつで憧れのヴィクトルがいる割に能天気すぎないか?人のこと言えないだろ。
「出世払いだって……」
出世払い。なんかよくわかんない言葉が出てきた。こいつ出世するのか?めっちゃスポンサーついたりするの?すげえなヴィクトルがコーチにつくって。にしてもコーチ料高そうだが。
「天下のヴィクトル様だよ?何億かなあ…」
「えっそんなに?」
「勇利の頑張り次第だね」
「えっ」
勇利の顔がわかりやすく強張った。
「まずその脂肪減らさないと」
「そう、ちゃんと痩せるまでリンクに入れないからね」
「ええっ」
「せっかく教わるんだからちゃんと信頼関係も築くんだぞ。チェレスティーノみたいに根気強くはなさそうだしちゃんとコミュニケーション取らなきゃ」
「ユラは良いこと言うね!確かに俺は彼みたいに根気強くはないなあ」
「えええっ」
「まあお言葉に甘えて金メダル取っておいで」
「俺がいるんだから絶対だよ!ハードな計画立ててるから楽しみにしててね!」
「……なんでそんな2人とも息ぴったりなの!?!???」
そうかなあ?
ヴィクトルと俺は2人顔を見合わせた。