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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第9章 騎士達の凱旋





「がは……っ!?」

そして、喀血する。


生々しく とぐろを巻く内臓がまだ生きた温かみを持って、自分の体内から強制的に叩き出されていた。


皮膚を貫通して。




「––––っ! ––––っ!?」


「……妾の異能は、既成異能。
対人用であり……」


ナイフを振るえば、真綿の足元に放射状に血痕が飛び散った。



「すでに貴様が死んでいる、という結果を作っておいて、
その後に遅れて原因がくる『起因性異能力』」



因果逆転。
死亡、殺戮、原因という逆説的理由による殺戮特化の異能力。


対象はすでに死んでいるという結果を構築しているから、対象は死から逃れることはできない。



それ故、特A級が課せられたのだ。




じり、と真綿が後ずさり、織田作の消えた舞踏室へと行こうとする。

もはや五臓六腑を穿たれたこの男に、生気など……



「っ…!」



しかし。

真綿の片脚を、今にも千切れそうなその傷だらけの腕が掴んだ。


ジャッと音を立てて、真綿の靴底からはみ出たカーボンの刃が、その手を腕ごと切ったが……

遅かった。




「さようなら、世界が誇った暗殺者。

お前の異能が臓腑を残らず貫くのが早かったようだが
どうやら諸共死ぬようだ。」


「な……」



傷だらけの二人の目の前には、遠隔爆破式の指向性地雷が置いてあった。

そして、後ずさる真綿のすぐ背後、つまりは扉の前にも仕掛けられていた。


この瞬間、真綿が敗北を悟った。




「嗚呼––––」


副司令の男が、もはや逃げる気のない真綿を愛おしそうに見た。

致命傷の身体からは、とめどなく血液が漏れ出てゆく。



「ぁ…の、オークション……で、見た…ときから……」

「……」



真綿が話の続きを促した。

どうせ死ぬ、ならば喋らせておけという魂胆だった。




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