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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第8章 暗香疎影




「ぶつかってすまなかった」



しかし織田作にも真綿にも、少年の話に付き合って……

否、耳を傾けていられるほどの猶予はない。



自分の言葉を途中で切られたことに大した反応もせず、
少年が大仰な仕草で眼鏡をかけた。




「おいおい、愚かだねえ君。
この名探偵と対話できる機会を逃すなんて!
僕の異能を見れば、そんな無下には出来なくなるよ!

……疑うのなら、見せてあげよう!」



陽気で尊大、早口に織田作と真綿を交互に見遣り––––



「君たち…」



ふと、その目と声が、冷ややかさを増した。

この二人の置かれた状況に、今更 戦慄したような、そんな調子だ。



「…悪いことは言わない。
だけど、君たち、目的地に行ってはいけない。

考え直すべきだ」


「何故だ?」



嗚呼、と真綿が心中で細く息を吐く。

どうやらこの少年のさっきの言葉は、口先だけではなかったようだ––––





「だって、行ったら君たち………死ぬよ?」



織田作が、懐から煙草を取り出して、咥える。

火をつけてから、少年の横を通り過ぎた。



少年の横を茫とした気配ですり抜ける白い影。





「知っている」




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