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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第49章 好きになったもの。後編…中原中也誕生日 4月29日記念






「……ユキ……」


ほどよく気持ちの良い昼下がり


海の見える丘公園にいた三島たちであったが
何やら首領不在のポートマフィアのアジト内で、地下の訓練施設が半壊したらしい。



ただ、それを知り得ているのは森さんと紅葉だけであり、三島とエリスは
この大人二名より少し離れた場所で午睡を楽しんでいた。



「夢の中でも僕を求めているのですか?」


ユキ、小さな三島は
エリスの可愛らしい貌にかかる金糸を指先で払ってやる。

ぬるい風になびくエリス嬢の金髪が
座した三島の膝の上でたゆたい、三島も眠たげに目を細めた。


陽だまりに吸い寄せられる猫は、
こんな気分なのかもしれない。

いつも通り、エリス嬢にせがまれる安眠のおまじないを額に落として欠伸を漏らした。


「え? 中原君と真冬君が?
嗚呼……判った。

報告ありがとう」


「どうした?」

首領が小型電子端末の通話を切り、紅葉姐さんが問うた。


日傘代わりか、唐紅の番傘をくるりと回す。


首領や三島は知っていることだが、あの傘は美しい意匠に反して醜悪な凶器。
持ち手部分の中身が穂先までくり抜かれ、鍔なしの打刀を納刀している。

つまるところ仕込み杖ならぬ仕込み傘。


「いや、まあ、うん。
今日だけは無礼講って事で大目に見てあげることにしたよ」

「ふうん?」

あまり興味なさそうに紅葉が息衝く。


たしかに今の真冬や三島は、首領の性癖『アンダー12』にばっちり入っている。


……三島はぎりぎりだし、言行動は人形じみているが、人間の少年然としているし、美少年なら良いだろう。

真冬は大人本人がああも『見た目麗し』の美貌、その上冠位を取った暗殺者ゆえに
外見は十把一絡げと一線を画している。


「膝枕かぁ〜……」

「フ、そこな由紀に言うてみれ。
きっとにっこり笑って丁重に断ることよ」


スヤァとエリス嬢が安らかに昼寝をしている、
そのそばで三島もうとうとしている。


美少年に美少女。
……うん、とても良い。

だから矢ッ張りしばらくは子供のままでもイイカナーなんて思うけど、戦力だしね。


「説却、少ししたら戻ろうか」

「帰るのか?」


桜色と紅を織り交ぜた双眸を首領に向ける紅葉。



「まさか。まだ三島君には、何も聞いていないからね」





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