第49章 好きになったもの。後編…中原中也誕生日 4月29日記念
「うーん……どうしたものかな……」
首領的にはしばらくこのままでもイイカナーと思えるが、彼女は大き過ぎる戦力。
三島君も同様に。
二大が小さいとくれば、早急に治したい。
「どうって、どう?
わたしが童べの姿とて、何も違わない。
むしろ子どもの姿の方が大人に与し易いのでは?」
首領の言葉に真冬が首を捻った。
ふわりと肩口あたりで揃えられた髪が揺れる。
真冬って、小さい頃は髪短かったんだ……
「発想が物騒だ……」
「わたしに気遣いしてもするだけ無駄だよ。
早く戻らなければ、エリス嬢の執事もままならない。
それは––––」
真冬がかわいい濁鼻音で、首領を見ながら言った。
黒い瞳は大人の時よりもっと大きくて丸くて、どこの公園にもいそうな女の子だ。
「それは?」
「いささか困る……」
「ぅぐぅっ!」
「首領に絶大ダメージ!?」
森さんは小さい女の子が大好きだ。
どちらかというと美少年も好きだろう。
だから今のこの小さくなってしまった幹部二名は、首領のどストライクのはず。
「じゃあこうしようか。
真冬君」
「むん?」
首領が心苦しそうに、マジで心苦しそうに言った。
剣呑にのたもうた。
「……今日だけ。
今日一日だけ、普通の子どもとして全てを楽しんでくれたまえ。
ただ、子どもの可動範囲を逸した言動はダメ。
というかまた痺れると思うからね?」
首領が太宰と中也に向かってそう言えば、耳が痛そうに二人がうなずく。
首領の言葉に真冬が当然の質問をした。
「森殿はどうするのだ?」
「私は……そうだなぁ」
首領がにっこりと笑う。
「––––小さくなってしまった自分の友人でも
目一杯甘やかすとしようかな」