第49章 好きになったもの。後編…中原中也誕生日 4月29日記念
「どうしたら治るのか知ってる?」
首領が問うた。
真冬がその小さな頭を傾げる。
「むー……
何か大人の姿ではないと出来ないことをしてみるというのはどうだ?
そうすれば、子供も大人も大差ないと因果付けられて、異能力が事象に流されるかもしれない」
「小さくなっても真冬君は真冬君だね」
首領が唸った。
子どもだとしても、目の前にいるのは冠位指定の暗殺者。
故に一にして全であり、存在は完璧に確立している。
子どもながらに、体はともかくとして……、ともかくとして。
精神は確立しているのだ。
そこで太宰が、お見舞いに行った時の三島少年の様子を思い出し……そういえばと言い出す。
「そもそも、三島君の様子を見るに……
脳内年齢もその姿に引っ張られているのかい?
少なからず三島君は、青年の本人より思考が子どもじみている」
「ん……、わたしも同じだ。
これといった語彙の低下はあまり感じないけれど、何となくこの体はそういう言葉を言わないようにできている…と、思う」
「そういう?」
太宰が問う。
「たとえばセ––––ヴァッ!?」
「セグウェイっ!?」
真冬がまるで電撃にでも撃たれたかのように震え、言葉がぶっち切られる。
そしてガクッと膝をついた。
「な、なるほど……?
童子に見合わぬ言葉を不躾に言うなと」
首領も吃驚だ。
「そ…のようさね…えっ…!」
真冬がぷるぷると身体を震わせながら、太宰に抱き起こされる。
子どもは屈辱と言いたげに眉を顰めて立ち上げる。
「異能力者自体はわたしが処分したが……
どうしたら治るものか」