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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第48章 Re:birth…III






「その彼が、爆弾に……か。
大方誰かでも庇ったのだろうね」


三島は呟く。

与謝野と乱歩を見つめて、何とも言えない紺色の双眸を向けた。



三島のゾッとさせるかのような目が向いても尚、決定打を見出せないまま五秒が過ぎた。



「晶」



唐突に彼の声が耳元で聞こえ、視界が持ち上がる。

まるで紛争地帯のような酷い背景をしても、三島の非人間性は失われるわけがない。

むしろ、だからこそ彼は落ち着いていた。





「……森さんと同じ色なんだね、その目」


三島の呟きに、森鴎外という昔の因縁深い男を思い出した。


あの町医者風情だと思いきや、彼はポートマフィアの頭取なんてしているではないか。
人が見かけによらないのは、森や三島で十分に学んだ。



「だったら」

三島は与謝野晶子の目を真っ直ぐ見ている。




「森さんと同じ色の瞳を曇らせることは、許さない」




嗚呼……ずっと前。
もう、二年も前のことだ。

まだ真冬がポートマフィアの森鴎外に、私邸暗殺者として仕えていた頃。

彼女は同じように、上橋菜穂子に言ったのだ。


『妾と同じその黒い目を、涙で濡らすことは許さない』––––と。




そして、三島が何やら外套のポケットを探った。


「はい。これを使うといい」


与謝野女医の目の前に下げられたのは、ホテルのカードキーだった。


しかもポートマフィア傘下の、いわゆるビジネスではなくインペリアルブランド。

つまり高級ホテル。
加えてスイートルームを示す金色の印字。

めちゃくちゃ高い。



三島は、同僚の重力遣いが飛べる高さで、尚且つ
この街が一望できるくらいの高さを借りておいた。




「でも、なんで……」

与謝野が渡されたカードキーを見る。



たしかにここなら、十分に広くて清潔。


それに元々三島は身体の器官が人より脆く、
中也がそんな三島にスイートルームを割り当てないはずがなかったのだ。



女医の声に三島が小首を傾げる。





「なんでって……


そりゃあ、僕と晶は仲間にはなれなかったけれど……

友人ではなかったかな?」



その言葉に、与謝野も乱歩も唖然とした。





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