• テキストサイズ

威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第48章 Re:birth…III






これは、与謝野と乱歩が
国木田と太宰の所に行き着くまでの、ほんの数分前のこと。









「乱歩さん!」

真冬よりかは前線で、残党を払っていた与謝野女医と乱歩のところに来た緊急の連絡。

国木田がプラスチック爆弾の直撃を受けたとのことだった。


しかも殺傷性を底上げさせるために、ガラス片を仕込まれていたらしい。
……なんて周到で悪質なのか。


そもそもこんな乱戦で飛び道具たる爆薬の類は、ともすれば同胞を巻き込む。

それなのに使うなんて、相手は正気なのか。


––––否。




「これから国木田君を迎えにいく。
急いで治療をしないと不味いからねェ……!」

「でも場所はあるのっ!?」



場所。

その一点に、与謝野の瞳が震える。



車の中は狭すぎる上に重傷者を乗せるには窮屈で不衛生。

しかも地下に停めたから、歩かねばならない。
血だらけの負傷者を抱いて歩くには少し遠い。


かといって、どこか目ぼしい部屋にアテがあるわけでもない。


「場所……、」

考えているうちに仲間の命は冷めていく。




「場所……っ」


乱歩が電話を握りしめた、その直後。





「––––晶?」



柔らかな声がした。


聞く者の心を溶かすような、

目にするだけで『寂しそう』だと
強烈な印象を受ける青年。



先ほど与謝野と殺し合う寸前にまでもつれ込んだ、洒脱とした青年が歩いて来たのだ。


「ゆ、由紀……」

「うん……どうしたんだい?」

「国木田君が……爆弾に直撃した」

「国木田君? ああ、さっきのあの彼か」


最後に三島の腕を掴み、武装探偵社という在り方を求めた金髪の精悍な青年。




あの眼鏡の奥の琥珀は、しっかりと

特A級危険異能力者と振り分けられた三島を見つめていた。





/ 686ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp