第48章 Re:birth…III
友人。
……友人……?
与謝野女医にそんな発想はなかった。
だって三島は、由紀は
夢の中でしか会えない人で、いつか現実で出会えた時でさえ由紀は由紀で。
ポートマフィアの幹部だと太宰に教えられてから、あの時の問答で感じた殺気は
『嗚呼、だからか』と納得できたくらいだった。
「ほら、行って。
僕が君をかどわかす前に」
三島のおどけたような笑みが、ありがたかった。
彼がこのタイミングでいてくれなければ
どうなっていたかと思うくらいに。
「ありがとう」
そして、太宰の腕に凭れた国木田を見つけて、叫んだのだった。
「太宰ィっ!」
「説却……中也は向こうだから、僕はこっちの対処かな」
三島が向かったのは、誰かがたった一人で今も孤軍奮闘してくれているしんがりの方。
倒れている人たちはみんな峰打ちになっているから、その人の力量が知れる。
誰が戦っているのだろう。
武装探偵社の者であることは分かるけれど、さっきの三人と、晶と探偵っぽい青年とそしてその人とで
六人で来ているのなら多分総出だろう。
大所帯だ。
こんな、ヨコハマでもない土地までわざわざ?
三島が考える中で、何やら甲高い金属音が遠くから鳴り響いた。
だよね。
たった一人が、何百人という暴徒の波に勝てるわけがない。
だからこそ、三島が加勢に来たのだから。
ただ、たった一人だとて相当な実力者であることは判る。
正直、あまり一緒に戦いたくないタイプかもしれないけれど。
「––––え……?」
そしてそこで、あり得ない
あり得るはずもない姿を捉えてしまったのだ。
血煙に舞う白い袖。
透かしの入った和柄は、三島の外套にあしらわれている柄と同じ。
ひらりと旋回した黒い髪に冷たい瞳。
剣戟というより、剣舞という方が相応しいか。
見間違うわけがなかった。