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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第7章 好きになったもの。前編…芥川龍之介誕生日 3月1日記念


「……ふむん?」



真綿が薄く笑みを口元に浮かべながら

小首を傾げてみせた。



いつもの森のように、判っているが関与せずといった

人を食った笑み。




軽く真綿に手を振った尾崎に

すっとしなやかに
片足を慣れた調子で引いて、可憐に一礼した。




「…カーテシーだね。随分と綺麗な動きだ。

嗚呼そうか、『君』としての最後の暗殺任務は
西洋で、だったか。

君の異能を使わずとも 経験と技術が何とかしてくれるからねぇ」




……まあ、それで西洋の暗部である『聖王』に捕まったわけだが…

と真綿が自負しながら 僅かに苦笑する。




「紅葉君。 これは良い案だ。」

「あー……」



尾崎の予想通りの反応に、森がわざとらしく微笑みながら頷いた。




「ふふ、稽古でも?

ま、何であれ
紅葉の助けには なる訳だが。」



主語のない 上司3人の会話に

中也が眉をひそめる。




「嗚呼、そうだね。君が行くといい。

というわけで紅葉君。

ぜひ彼女を連れて行き給え。」





ぼんやりとした明かりの下で


尾崎に 真綿を貸す許可を与えた 森の笑みは

非常に胡散臭くて怪しいものにみえる……




中也が 「?」 をその端麗な顔に出しながら

淑やかな純白の着物を纏う、 暗殺者へと視線を移す





「……うむ、中也よ。

今日から妾が 貴様に稽古をつけるとのことだが」




ふっと中也の目の前に その影のような黒の瞳が覗き



その動作間での 存在感の薄さに

身体を強張らせた…




真綿は 凄腕の暗殺者だと

自身の姐のような存在である尾崎からは、幾度となく聞いていた。




「ふふ。 ほら、見給え、紅葉君。

中也君的にも 大変良い成長になりそうだろう?」



「そうさなあ」



弾んだ声で言う森に 呆れたか、尾崎が軽く目を閉じた…




「…君も良いね? 真綿君。 意向を聞いてはいないのだけれど…」



森の問いに 真綿がニッと笑う。

そこにあるのは、確かな笑みだった。




「勿論だとも。

我があるじ殿よ


この身は貴方と共に在り、すべてに至るまで貴方の物となりましょう。」
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