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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第48章 Re:birth…III






「……」

「……」


この二人の間に楽しい会話などない。


それどころか、仲間ではないのだから
どちらか一方が襲いかかっても文句は言えない。


けれど。





「……足手まといにならないでよ」

「は」


太宰の鳶色の目は、初めてちゃんと菜穂子を見る。


太宰に対して昔の畏怖がないかと言われれば否定するところだが、それでも菜穂子は太宰に背を向けた。



「……っチ。それじゃ––––」

太宰も複雑そうに眉根を寄せつつ背を向ける。


菜穂子が、鎖手綱の付いた錫杖を持った。



「やろうか?」

太宰の言葉に菜穂子がうなずく。



「––––いきます!」













時に、錫杖は武器として使われる。

菜穂子などそれに長鎖が付いているのだからもっと凶悪な得物である。


太宰のリーチ外を菜穂子が跳ぶように狩り、舞い上がる血は少量。
ちゃんと峰打ちにしているようだ。
していなかったら太宰が菜穂子を撃っていた。



「そこ……!」

徒手空拳の太宰はミドルレンジ内では相手に手が届かず、そこを菜穂子が仕留めているかたちだ。

代わりに、仕方なくだが菜穂子との同じリーチ内では太宰が仕留めてやる。


「貰いましたっ……!」


しかし、菜穂子を守るためではない。

故に……




「隙あらば何となく首狙うのやめてくれない?」

「まさか」


菜穂子も太宰の遠い間合いを狩りつつたまに鎖が音速で飛んでくるし、
太宰の空拳格闘なんてまともに当たろうものなら気絶する。

菜穂子への被害を考えていない。



互いに相手が避けると判っているから、好き勝手に戦っているのだ。


三島が手塩にかけて育てた部下に気遣いは無用。
ちゃんと戦士として大成しないはずがないのだから。


だってほら、三島君だしね。




太宰が蹴倒したその視界の向こうで、菜穂子も上から暴徒を鎮圧させる。


太宰が姿勢を低くした瞬間に、
ヂッと音を立てて鎖が頭上を薙いでいった。






「……で? 調べてきた結果は?」






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