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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第48章 Re:birth…III





「っ……! 〜〜っ……!」

太宰の声が聞こえない。


震える指先が、ガラスっぽい何かを触った。

自分の眼鏡だった。




プラスチック爆弾の特徴的なオレンジ色が頭上で起爆した時には、国木田はすでに伏せていたものの––––

パラパラとガラス片が雨のように礫となって降って来る。


周到な爆弾だな、と俺は笑う。
笑えるだけの気力はあったみたいだ。


爆発物にガラスを混ぜて、殺傷力を大幅に上げているのだ。



「……っ…! に……だ、君…!
社長……、与謝……医……呼び戻……!」


太宰が通信機片手に何か言っていたが、何も聞こえなかった。



耳の奥がキーンと鳴っていて、一定音のモスキートのようだった。

まあ、あれはネズミ用だよと真冬が言っていたのも、随分昔のように思える。



視界が赤い。


それより……太宰……

この状況で、一人で戦うのは…無理だろう……




「太宰……っ、回りを見––––!」


皮膚が爛れるのが服越しに判る。
髪が少しだけ焦げたのも、血を流しているのも判る。


だから自分は立てないから、太宰が生き残らねば意味がないのだ。




太宰へ声よ届けと

視界を悪あがきのように睨みつけた瞬間。










「は––––ぁぁああっ!」

凛とした気合いの声音が、血煙の中を劈いた。















「は––––ぁぁああっ!」


太宰がバッと後ろに退がると同時に、
今の今まで自分の身体があった場所がクレーターとなって穿たれた。


殺す気かと思いながらも、それもそれで役得だと

降ってきた"少女"を睨む。






「遅い。菜穂子」



「申し訳ありません。調べ物に手間取りました」




菜穂子、そう呼ばれた少女が


爆弾に斃れた国木田を一目見て––––







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