第48章 Re:birth…III
異能力者の迫害。
異能力は、常識では考えられない現象を起こす特殊な力。
ただそのように、在るべくして在ると言う他ない。
『こう』とは決められないが、
『そう』あるべきと自然の摂理により定められている。
そして……
精神操作系と現実改変系の異能は異端とされ
精神操作系は最も忌み嫌われる。
「【人間失格】」
太宰の指先から澄んだ碧色の文字帯と閃光が舞い上がり、国木田が両肩を震わせる。
対峙するあの彼に漬け込まれたのだ。
「戦って守ったつもりでも
彼らは所詮、僕らをそうとしか見ていない」
……精神操作。
精神侵犯系の異能力……!
太宰がぱんぱんと手を叩き、払う。
「……それでも我々は、ヨコハマの秩序を守るために存在している。
それをまかり違うわけにはいかない」
社長の言葉に尚も彼らは冷たく視線を遣るだけだ。
冷静な目。
不味いよね……これ。
彼らは、落ち着き過ぎている。
「……それ、組織として破綻していると気付かないのかい?」
何より彼は……
間違ったことを、言っていない。
「まず、ヨコハマの秩序を守るという組織に軍警がいるのが不味いでしょう。
彼らは義務だから、無償で民を助けもするし戦いもする。
対してあなた方異能民間企業は、高額の報酬金を得て民を守っている。
軍警の運営資金はどこから出ているのかと問われれば、民たちの税金に他なりません。
軍警でも手に負えない荒事を傭兵に頼むのは、
組織の在り方として根本的に間違いだ」
守りたいから、とか
そうしたいから、という感情論で物を言っているのではなく
彼は真実と正論で以つてこちらを諭してくる。
––––諭す……?
どうして彼らが、我々を諭す?
責めていない。
糾弾していない。
論破しようとしていない。
彼はこちらを説諭してくる。
どうしてだ?
その時、ハッと中也と三島が違う方向に目をやり、頷いた。
武装探偵社三人も異様な空気に辺りを見回す。
「……興ざめさせンなよ」
「釣れたみたいだね」