第48章 Re:birth…III
「由紀……
三島君は、ポートマフィアが五大幹部の一角。
典型的な『絶対悪』である、その幹部様さ。
まァ、生粋の頭脳派に加えて長らく面会謝絶でね」
真冬の異能力で、三島君は全身に呪いともいうべき大怪我を負わされた。
当の本人はその傷を愛おしそうに語るけれど、真冬は精神的に深く『傷ついた』はず。
痛みを知らなかった彼女は、
三島君の荒療治によって痛覚を埋め込まれたのだから。
「でも、幹部でも一介の構成員でもやる事は同じ。
僕たちは彼ら二人をどうにかして分断させて、襲ってくるはずの本命を捕らえる」
「うん」
四人が地上へと出てゆく。
焦げ臭い匂いが乾いた風とともに砂塵を運び、
混沌としている戦場からは幾つもの叫び声。
「行こう!」
走る。走る。走る。
国木田君と真冬が掃討してくれた構成員たちは、皆峰打ちで失神しているだけだ。
しかしさすがポートマフィア。
起き出す連中がほとんどだ。
時折殴り倒しながら、硝煙弾雨を避けつつ敵陣をただひた走る。
「妾が何とかしとくよ。先行きな!」
「社長、太宰行って。
幸い人数は少ないから、何とかなるよ」
与謝野女医と乱歩がそこで立ちとどまり、二人に言う。
……正直、ここで回復役の与謝野女医を残すのはかなり手痛いのだが……
「すぐに来い」
「勿論。任せてよ!」
「ここは任せなァ!」
社長がうなずき太宰を後ろに前へと進む。
敵二人のいる方へ。
そして。
「––––社長、太宰!」
「ふむん……ここまでだ」
先陣を切っていた国木田と真冬が
頬や服に血をつけながらも、走って来た二人に振り向いた。