第48章 Re:birth…III
「太宰、どう?」
「戦っているのは全員下級構成員です」
乱歩の問いに太宰が双眼鏡を外して目線を下げる。
「取り替えが効くから、ここに固定砲台として捨て置くつもりでしょう。
肝心の本体は煙に隔てられていますが、
真冬たちからの連絡がないと来れば––––」
「嗚呼……、こうもゆっくり構えられるとねェ……」
中心たる中也と、いるであろう三島のところに行こうにも下っ端が多すぎる。
それを今あの二人が戦力を削いでくれているだとて、敵二人はゆっくりとこちらに歩いて来ているときた。
とその時、国木田からの通電が車の中の通信機に入る。
地下駐車場にいる四人がそれに振り向いた。
社長が重い面持ちで通信機を手繰る。
「国木田か」
《敵の攻撃範囲圏内にあと三十秒ほどで突入します。
……真冬が異能で峰打ちをしていますが、数が多すぎます》
「遅れる……か」
あとで合流すると先ほど言い合ったけれど、二人だけでは少々きついか。
乱歩がうーんと唸る。
「けれど、国木田と真冬は
本命と相見えるよりむしろ他の雑魚を蹴散らすのが役割だ。
敵の主力二人が来るのなら、前の二人は引き上げさせた方が––––」
乱歩の意見に与謝野女医がふと呟いた。
ついさっき、三島と二人で話して感じたあの脅威。
あれはポートマフィアの体捨流ではなく、暗殺技術だった。
にこやかに笑いながら敵を屠る。
「……由紀は……強いよ」
「そりゃあ、ねえ。
彼、幹部だもの」
…………。
太宰が何とは無しにそう言った言葉に、
与謝野女医が「え」と声を上げる。
「え?」
「え?」
困惑、数瞬。
太宰も小首を傾げた。
与謝野女医は知らされているかと思っていたのに。
「由紀が、幹部?」
「あっっ……の、子は〜……!」