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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第48章 Re:birth…III







「またねって、言ったンだ」

与謝野が真冬の隣に座り、言う。


いつ襲撃が来るか判らない状況で、シートベルトはしないのが定石だ。



「それは、その場凌ぎの口約束だよ。
次の再会は血生臭いものだとしても、その彼は笑って言うんだ。

また逢えたねって」


乱歩が後ろで外の景色を一瞥し、呟くようにそう言った。



「あー……」
「うー……」

(言いそう……)
(言いそうさなぁ)


さしもの太宰も真冬も同感である。











車が地下駐車場に停められ、一応警戒しながら出る。

いつポートマフィアが迎撃してくるか判らない。



ここはヨコハマではないにしろ真の目的はマフィアと戦うことじゃない。


それは通過点に過ぎず、出来れば無傷で何とかしたいところ。



出口のところから明るい日光の差し込む光が覗く。




真冬と国木田が一瞬だけ目を合わせ、


「先に行く。
敵の人数が明確ではない故な」


「俺も共に行こう。
……我々二人が囮になります。

あとで必ず向かいますので」


最前線、つまり露払いに向かった。


国木田が真冬とともに、先に地上へと駆り出す。




真冬は多勢に無勢など慣れている。
一対多は暗殺の基本。

そして国木田や社長、この二人にも一対多は覚えがある身。





彼らは、そこに『在る』だけで



一人当千なのだ。








「二人が露払いしてくれた花道を通って、僕らはポートマフィアの中心を叩く。

せいぜい派手に見えるように戦って、本命の人攫いを挑発すればいいだけだ」


「了解」



乱歩の戦略であればきっと大丈夫。

生きて帰らなければならない理由が、誰しもにあるのだ。



与謝野女医にも、太宰にも。





「––––少年はいつだって……

生きるために虎の爪を立てる、か」








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