第47章 Re:birth …II
「––––?」
菜穂子が、差出人『公衆電話』を見て、
すぐにスマホの着信を切った。
英断かよ、と立原が苦笑いしながら聞く。
「出なくていいんすか?」
「はい。」
彼はこう言いたいのだろう。
『相手は三島幹部かもしれない』と。
……否。
その三島こそが、菜穂子に説いた事だったのだ。
––––敵はね、相手の気が緩んだその一瞬に漬け込むんだよ。
終わった瞬間に、背中から襲うのさ。
そもそも公衆電話なんて
軍警が逆探できるほどシステムは簡素なんだ。
だから何かあっても公衆電話ではなく、
第三者から連絡手段を借りた方が良い。––––
「……三島様は公衆電話なんて使いませんから」
「ま、普通そうだわな」
立原もそれ自体は三島の口から聞いたことがある。
三島は新人教育などほとんど行わない。
手ずから養成などという時間を必要とすることはしない、第一彼は滅多に人前に出てこない。
会えるのは一介の構成員以上。
精神侵犯系の特A級危険異能力者。
在るだけで終末だと忌避される生物。
「……また鳴ってるけど」
「いえ、そんな些末なことより……
気にするべきはこの銃声の中で出るのか、ではありませんか?」
……立原は特に気にしていなかった。
が、考えてみればたしかにそうだ。
ポートマフィア連中が同じく構成員や仲間に掛かるのであれば、「任務中か。」で済むが––––
相手が一般人であれセールスであれ、こんな銃声の豪雨をBGMにすれば間違いなく通報沙汰。
とその瞬間、ハッと菜穂子と立原が
己の得物を突き出した。
はたから見れば互いが互いを狙っているようにも見えたが、決して内輪揉めではない。
ドッと話し相手の背後に迫っていた敵が
脳漿を飛び散らせ、あるいは顔面を切られて倒れこんだ。
そして横から飛び出してきた敵も、
天井から無音で降り立った銀により一閃される。
––––気が抜けた時に襲ってくる、恐るべしだ。
「……『背中からバッサリ☆』?」
「銀もそのクチか!」
「み……三島幹部っ……」