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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第47章 Re:birth …II





一方––––

ヨコハマ、とある夜中の十二時半



「菜穂子さんっ、黒蜥蜴入ります」


けたたましくなる重低音の銃声に、髪を揺らす手榴弾の暴風。


この世の掘削機や圧搾機を掻き集めて一心に鳴らしても、ここまでうるさくないのではと思えるほどに、何千もの銃声が夜空にはじけた。



そんな紛争地帯もかくやという乱戦場に、
返り血で牙を赤く染め上げた巨獣が駆る。


異能生命体たる証拠、シアン色の文字帯がその巨大過ぎる体躯を構築し、
粒子を撒き散らして人間の頭部が空高く吹き飛んだ。

噴水のように真っ赤な飛沫が獣の体毛を濡らす。


着地ひとつで頭蓋を粉微塵にする様は、見続けるには凄惨過ぎた。


常人が見れば吐いてもおかしくないその凄絶な光景に、さすがに樋口も「うわぁ……」と口にしながら

前線で戦闘をする少女へと


「黒蜥蜴入りまーーす!」

「はっ、はいっ!」


さっきより五倍くらい大きな声で叫んだ。


月夜に舞った生首、千々になった毛髪。
そこに投げられた手榴弾が着弾し、その頭に詰まっていた血が放射状に爆散した。



「く––––」

【––––……】


暴力的な熱波が、目の前に悠然と四肢を構える獣によって相殺される。

フン、と【獣の奏者】が鼻を鳴らして菜穂子がその背にまたがった。


「お疲れさん菜穂子。
到着までの露払いありがとな」

「いえ」

クソ真面目な顔と声の少女に話しかけたのは立原だった。
その手には二挺拳銃。

菜穂子が錫杖を顕現させ、鎖が地面に叩きつけられる。



「私は皆様の帰路の掃討を」


「判った。

銀とジイさんに言っ––––……スマホ鳴ってね?」









「へ?」


獣の首の毛を掴んでいた菜穂子が、ポケットを探った。



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